主旨:本稿では、日本語の敬語の定義、分類の仕方について、先行研究を參照しながら再考した後、普段の生活の中で気になった敬語の誤用を分類して、分析してみた。そして、現(xiàn)在の日本語教育における敬語教育の問題點についても分析して、述べてみた。
キーワード:敬語 誤用分析 日本語教育 問題點
一、はじめに
最近敬語が必要だと感じている一方で、現(xiàn)実の運用に際して間違えたり、困難だと感じていたりする人(特に若者)が增えていると言われるが、その原因の一つは幼児期に自然に身につく一般の言語習得とは違い、敬語は學童期以降に習得する性質(zhì)のものであるということにあると思われる。また、日本語の敬語は相対敬語であり、上下関係、內(nèi)外関係、親疎関係などの人間関係において、場面の違いによって、どの関係を優(yōu)先するかを考えながら使い分けるため、非常に難しいものである。日本人にさえ難しく、間違いやすいと言われる敬語は、外國人日本語學習者にとっては、非常に複雑で習得しにくい文法項目の一つである。しかし難しいとは言え、外國人日本語學習者にとって、將來日本語を使って仕事をするために正しい敬語を習得する事は非常に重要である。
筆者も外國人日本語學習者の一人であり、かねてから日本語の敬語を興味深く感じていた。本研究ではまず、日本語の敬語の定義、分類の仕方について先行研究を參照しながら再考し、次にタイプごとに誤用を分類·考察し、最後に日本語教育における敬語教育についても考察を加えた。
二、敬語とは
<敬語の定義>菊地(1994)では、敬語を「敬語とは、同じ事柄を述べるのに述べ方を変えることによって敬意あるいは丁寧さをあらわす、そのための専用の表現(xiàn)である。」と定義している。(P.72)
<敬語の分類>敬語の分類は、現(xiàn)在まで研究者によって様々な意見があるが、この研究では従來の學校教育等で行われている敬語教育での分類方法と文化審議會(2007)の『敬語の指針』での分類方法を分析しながら考察を加えた。
<従來の學校教育で行われている敬語教育>従來の學校教育等で行われている敬語教育では、敬語を尊敬語、謙譲語、丁寧語の三類に分けている。
<『敬語の指針』(2007)>『敬語の指針』(2007)では、敬語を以下のように5分類している。(『敬語の指針』P.13)
1 尊敬語 (「いらっしゃる·おっしゃる」型)
2 謙譲語Ⅰ (「伺う·申し上げる」型)
3 謙譲語Ⅱ(丁重語) (「參る·申す」型)
4 丁寧語 (「です·ます」型)
5 美化語 (「お酒·お料理」型)
<まとめ>従來の敬語の三分法と『敬語の指針』(2007)による五分法については、それぞれ良い點もあるが、妥當性に関しては疑問に思う所もあることが分かった。敬語を習得する立場から言えば、覚えなければならない決まりは少なければ少ないほど望ましい。簡単かつ適切な分類方法はこれからも多くの學習者が期待するところである。次に、普段の生活の中で気になった敬語の誤用を分類し、分析を加えた。
三、敬語の誤用について
<敬語の誤用とは>この研究での敬語の誤用は、敬語を誤って用いること、敬語の用法を誤ることを一般的に総稱している。後述の謙譲語と尊敬語の混用も誤用の一種であり、間違いに気づかない場合も多い。(②と③はどちらも混用型であるが、③は複合的誤用であるので特に分類した。)
<敬語の誤用の種類>
① つられ型 例: A:「ご存知ですか?」 B:「はい、ご存知です。」
會話の中でAの尊敬語の「ご存知ですか」の質(zhì)問に対して、Bは相手の話につられ本來自分のことを高めてはいけない「ご存知です」の尊敬語で答えてしまった。
② 謙譲語と尊敬語の混用型 例:「父は何かを申しておられましたか?」
本來「父は何かを申しておりましたか」とすべきところだったが、父の事を尊敬する表現(xiàn)を加えたため謙譲語「申す」+尊敬語「おられる」という矛盾した形になってしまった。
③ 謙譲語と尊敬語の複合的混用型 例:「お客様が申されたとおりに……」
この例の誤りは元々誤った謙譲語を使った後に、さらに「(ら)れる」尊敬語を付けて、誤りに誤りを重ねることになってしまったところである。
④ 文法的誤用型 例:「千円からお預かりします」
「預かる」は他動詞であり、何かを引き受けて保管する意味である。前には助詞「を」を付けるべきである。ここではお客様から千円を引き受けて保管することをお客様に知らせることになる。「から」は場所や時間を示す語に付いて、動作の始まる時間や経由點を示す「格助詞」であり、「預かる」の前に付きにくいのである。
⑤ 二重敬語型 例:「おっしゃられる」
尊敬語の「おっしゃる」はすでに敬語であるため、さらに「られる」を付けると二重敬語になり、付ける必要がない。
⑥ 美化語誤用型 例:「ご勘定」 「お人參」 「おケーキ」
「勘定」は漢語なので、「ご」が付くと思われがちだが、「お」を付けるのが正しい。「お」と「ご」の間違いは言うまでもなく、それに「お」と「ご」を付けるべきでない語に付けてしまうのも誤用である。「人參」などの語には「お」が付きにくいが、生活の中で多くの女性が「お人參」などを使っているのはよく見られる。また、「ケーキ」などの外來語も「お」が付きにくいものである。しかし「おケーキ」などを使っている人が多くいる。
それぞれの誤用を防ぐには、日常の生活の中で敬語に対する認識を深め、常に正しい敬語使いを追求する姿勢が大切だと思われる。最後に、現(xiàn)在の日本語教育における敬語教育の問題點について分析し、考察を加えた。
四、日本語教育における敬語教育の問題點
① 學習者自身の問題點 例:必要性の意識が低く、諦めている傾向が見られる事。
② 教師の問題點 例:完全な習得を期待していない、指導に関して重要視していない事。
③ 教科書の問題點 例:導入が遅く、內(nèi)容が不十分な事。
④ 日本社會の過度の寛容による問題點 例:誤用に批判的でない事。
5.おわりに
敬語は日本社會の感性を表わす一つの要素であり、社會の構造を守っていく一つの要素でもあるため、これからも大切にすべきであると思う。外國人學習者が敬語を正しく使えないことは、日本の若者が敬語を上手く使えないことや誤用が多いことなどと同じく、本人だけの問題ではない。本人たちが能動的に學習するのも重要なことであるが、社會的なフォローも不可欠であると思われる。
敬語についてのさらに詳細な研究や、それぞれの問題解決策についての研究を、他の日本語教育文法の研究と同様にこれからの課題として、多くの外國人日本語學習者の役に立てるような研究を今後も続けていきたいと思う。
基金項目:“關于日語敬語的研究——以誤用分析為中心”(本項目為中央高校基本科研業(yè)務費專項資金資助項目,項目編號:3132015109)
參考文獻
[1]浦谷宏、川口義一、坂本惠、清ルミ、內(nèi)海美也子『敬語表現(xiàn)教育の方法』大修館書店,2006.
[2]大石初太郎『敬語』筑摩書房,1975.
[3]奧秋義信『勘違い敬語の事典 “型”で見分ける誤用の敬語』東京堂出版,2007.
[4]菊地康人『敬語』角川書店,1994.
[5]菊地康人『敬語再入門』丸善ライブラリー,1996.
[6]菊地康人『朝倉日本語講座⑧敬語』朝倉書店,2003.
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大蔵省印刷局,1992.
[8]辻村敏樹『敬語論考』明治書院,1994.
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[10]文化審議會『敬語の指針』文部科學省,2007.
[11]文化庁『日本語教育指導參考書2 待遇表現(xiàn)』大蔵省印刷局,1971.
[12]宮地裕「待遇表現(xiàn)」『日本語と日本語教育―文字·表現(xiàn)編―』大蔵省印刷局,1976.
作者簡介:
王海霞,文學碩士,大連海事大學講師,主要研究方向為日語語言學。
(作者單位;大連海事大學)