太宰治の作品にみられる人間性について

郜璇

【要約】小説家の太宰治は日本の無(wú)頼派の代表的人物として世界でも名高い作家である。川端康成、三島由紀(jì)夫とともに日本戦後文學(xué)界の文豪及び「私小説」領(lǐng)域の天才作家と稱されている。太宰治文學(xué)は典型的な自己否定の青春文學(xué)であり、告白文學(xué)でもある。貴族出身でありながら、幼い頃から感受性が繊細(xì)で敏感だった太宰治は人間としての罪悪感をはっきり暴き、人生で五回目の自殺によって命を終わらせた。本稿は「走れメロス」と「人間失格」を中心に、太宰治文學(xué)にみられる人間性について研究する。

【キーワード】太宰治；人間性；「走れメロス」；「人間失格」

一、主人公の分析

1、メロス

ギリシャの神話のエピソードとドイツの「シルレル」をもとに創(chuàng)作した「走れメロス」について、作者は原作と違い、主人公に人間性を持たせ、感情をこめて創(chuàng)作したと言えるであろう。

「メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮らして來(lái)た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。」メロスは単純で、正義感の持ち主である。シラクス市の國(guó)王は民の忠誠(chéng)を疑い、次から次へ人を殺すという事を聞き、メロスは激怒し、自分の命を顧みず、國(guó)王の暗殺を決意し、王城に侵入した。人間は私欲のかたまりで、信じてならぬと斷言した王に対して、人の心を信じるべきだというメロスの反論を通して、メロスには正義の人間性を感じることができるのだろう。

家族と友人を大切にする人間性はメロスには見(jiàn)える。極刑を前にして自分の命を考えず、ただ一人の妹の結(jié)婚式を気にかけてためらった。妹に極刑のことを隠し、花婿をなだめすかし、説き伏せ、祝宴でばたばたしていたのはすべて愛(ài)する妹の幸せのためだった。祝宴中、「メロスは一生このままここにいたい、と思った。」が、人質(zhì)の友人のセリヌンティウスを救うためシラクス市に戻らなくてはならなかった。途中に激しい濁流を泳ぎ切り、山賊を打倒し、疲れきって倒したにもかかわらず、再び立ち上がり走り続けた。最後の一刻まで諦めず走っていた。家族と友達(dá)に真心を盡くす人間性はメロスによってはっきりあらわされたと思われる。

名譽(yù)を重んじる人間性が見(jiàn)える。友達(dá)を救う前に妹と花婿に自分のことを誇ってほしいと言ったり、「私は生まれた時(shí)から正直な男であった。正直な男のままにして死なせて下さい。」と考えたり、普通の人間と同じように自分の名譽(yù)を非常に気にかけていることが分かった。

原作の主人公の神様のイメージと違い、太宰治はメロスに穏やかな性格を持たせた。本書にメロスが悠々と仕度をすることなどをざわと書き出し、メロスの性格を強(qiáng)調(diào)するつもりであろう。

2、大庭葉蔵

「人間失格」は太宰治自身の経験を多く反映したので、フィクションでありつつ、自伝小説でもあると考えられる。

主人公の大庭葉蔵は金満家に生まれ、子供の頃から病弱で、家族皆は、薄暗い部屋で黙々と食事をする有様に大きな影響を與えられ、人間を極度に恐れた。生きていく意味が悟らなく、隣人とどう付き合うべきかがわからないと、道化を演じていた。「それは、自分の、人間に対する最後の求愛(ài)でした。自分は、人間を極度に恐れていながら、それでいて、人間を、どうしても思い切れなかったらしいのです。そうして自分は、この道化の一線でわずかに人間につながる事が出來(lái)たのでした。」道化によってまわりの人々に笑わせ、皆に理解してもらいたいが、気が弱くてなかなか愛(ài)と理解を引き受けられなかった。しかし、その道化もいつも成功したわけではなかった。中學(xué)の同級(jí)生の竹一に「ワザ」といわれ、大庭葉蔵はパニック狀態(tài)に陥った。自分の道化が見(jiàn)抜かれ、人間としての資格も失っていくと考えた大庭葉蔵には自分の本性を隠す人間性及び世をはかなむ人間性をあらわしたと思われる。

家族からの愛(ài)は不足で、暗い環(huán)境に育った大庭葉蔵は周りの人に楽しんでもらうつもりで道化をした。またその暗い環(huán)境の影響で、大庭葉蔵は自分の情緒を抑え、人に拒むことと論爭(zhēng)することをしない弱い性格になった。気に入らないことに遭遇すると、戦わずに辛抱し、暴きたいが人に笑わせることにした。その矛盾の気持ちも大庭葉蔵の人間性をあらわしたのだろう。

二、「信実」と「不信」

1、友情における信頼と疑い

「走れメロス」に、國(guó)王は極端な態(tài)度を持ち、人を信じることができぬ、臣下及び家族まで殺したのに対して、メロスは國(guó)王に信実を証明するため、唯一無(wú)二の友人のセリヌンティウスに人質(zhì)になってもらった。そして「ここに帰って來(lái)なかったら、あの友人を絞め殺して下さい。」と約束し、実家に戻った。実家で要件を済ますと、「メロスは、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意した。

途中、濁流と闘爭(zhēng)し、山賊に殺されかけ、ついに疲れ切って倒れた。身體とともに精神も疲労し、とうとう「勇者に不似合いな不貞腐れた根性が、心の隅に巣くった。」もうここまで精一杯努力したとか、約束を破るつもりは決してないがもうここは限界だとか、私は王の言うとおり裏切り者だとか考え込み、正義の価値観は動(dòng)揺してきた。諦めきってまどろんでしまったら、ふと耳に水の流れる音が聞こえ、すぐ足元で清水が湧き出てきた。その水を一口飲んで、悪夢(mèng)から覚めたような気がして、友達(dá)の信頼に報(bào)いなければならないと気付き、本気を出し、再び走り出した。本気を出したメロスは風(fēng)のように走り続け、なにもかも聞かず、刑場(chǎng)に駆け、友達(dá)を救った。そして二人はお互いに疑ったことを白狀し、毆り合い、謝り、抱きしめた。

友達(dá)の信頼に報(bào)いるため走るメロスは信実の人間には違いないが、途中正義の価値観を否定し、諦めかけたことによって、メロスは勇士でありながら、普通の人間性も持っていることが分かる。

2、無(wú)垢の信頼

「果して、無(wú)垢の信頼心は、罪の原泉なりや。」無(wú)垢の信頼心を持つヨシ子は愛(ài)していない小男の商人を信頼し、犯された。妻の無(wú)垢の信頼心を持つことに惹かれた大庭葉蔵は裏切られ、ストレスと苦痛を十分味わったが、それはすべて自分が悪いと判斷して、妻に裏切られたことさえ自業(yè)自得だと思い込んだ。

「無(wú)垢の信頼心は、罪なりや。唯一のたのみの美質(zhì)にさえ、疑惑を抱き、自分は、もはや何もかも、わけがわからなくなり、おもむくところは、ただアルコールだけになりました。」無(wú)垢の信頼心を持つのはとんでもない、いい性質(zhì)だと思ったのに、現(xiàn)実で自分に苦しませるもっとも大きな原因になっていたことについて大庭葉蔵が悩んでいた。無(wú)垢の信頼心は純粋な人間性の一部だと思われ、社會(huì)に存在する利益とか誘惑とかによってこの純粋の人間性はかわったのであろう。自分の利益のため他人の信頼を破らざるを得ないことは世の中の何処にでも存在すると思われる。大庭葉蔵は信頼する友達(dá)と妻に脳病院に送られ、「自分は、完全に、人間でなくなりました。」と、人生は終わったと思った。果たして大庭葉蔵の人生が終わったのか？それとも全社會(huì)が終わったのか？それはいまだに世間で討論されているのである。

三、「走れメロス」と「人間失格」との比較

1、人物の設(shè)定

「走れメロス」は太宰治文學(xué)の中期の作品で、太宰の生活が安定期に入った頃に完成されたと言えるのであろう。無(wú)頼派の代表作家である太宰治は作品の主人公に暗くて消極的なイメージを設(shè)定し、遺作と言われる「人間失格」の主人公大庭葉蔵は典型的な人物といえよう。しかし、「走れメロス」の主人公メロスは案外正義的、単純で明るい性格を持ってるといえよう。それは歴史環(huán)境によって創(chuàng)作したといわれる。當(dāng)時(shí)の日本の政府は軍國(guó)主義に入り、文學(xué)界に厳しい制限を加えた。太宰治は創(chuàng)作を中止させないようにできるだけ明るい文章をしなければならなっかたと思われる。したがって、「走れメロス」は他の作品と違い、明るい基調(diào)になったのであろう。

2、太宰治が示したいこと

「走れメロス」であろうと、「人間失格」であろうと、消極的で、墮落した太宰治自身の世界に対する態(tài)度を示したかったのだと思われる。「走れメロス」によって、間接的に世界に対する不満をあわらし、「人間失格」によって、直接的に悲観的な態(tài)度をあらわした。自分の人間性にある要素を作品を通して世間に見(jiàn)せ、考えさせることは一番示したいことだったのであろう。

四、まとめ

太宰作品に対し、三島由紀(jì)夫自身が中公文庫(kù)?太陽(yáng)と鉄?に収録されている?私の遍歴時(shí)代?の中に書いている。それによると、太宰作品の?自己戯畫化??作品の裏にちらつく文壇意識(shí)??笈を負(fù)って上京した少年の田舎くさい野心のごときもの?が、やりきれなかったようだ。それともう一つ、?太宰治は三島由紀(jì)夫のもっとも隠したがっていた部分を故意に露出する型の作家?であったために、生理的反発を感じたのかもしれない。といった感じのことを書いている。太宰治は人間のもっとも隠したい部分をはっきり書き出すことで、社會(huì)に抵抗したかったのであろうか、人間を反省させたかったのであろうか、それはいまだに爭(zhēng)論にされている。しかし、太宰治文學(xué)が永遠(yuǎn)に影響力があるということが確かなことだと思われる。

【參考文獻(xiàn)】

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